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保険会社の健全性について
数ある保険会社の商品を比較・検討する際に、何をチェックしたらいいのでしょうか?保障内容が自分に合ったものになっているかはもちろん、万一の際にきちんと保険金が支払われるのか、といった要素も重要になってきます。
まずはソルベンシー・マージン比率や基礎利益など、保険会社の健全性に関係してくる指標について理解しておきましょう。
【指標1】ソルベンシー・マージン比率
「ソルベンシー・マージン比率」とは、大震災や株の暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに、保険会社が対応できるかどうかを示す支払余力のこと。この比率が200%を下回った場合には「早期是正措置」が取られます。
この早期是正措置というのは、保険会社の業務の適切な運営を確保し、契約者の保護を図ることを目的として導入されています。状況に応じて、下記のように監督当局が業務改善などの命令を発動し、経営改善への早期の取組みが促されます。
区分 | ソルベンシー・マージン比率 | 早期是正措置の命令内容 |
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非対象区分 | 200%以上 | なし |
第一区分 | 100%以上200%未満 | 経営の健全性を確保するための改善計画の提出、 及びその実行の命令 |
第二区分 | 0%以上100%未満 | 以下の、保険金等の支払能力の充実に関わる措置の命令
|
第三区分 | 0%未満 | 期限のある業務の全部または一部の停止 |
※ソルベンシー・マージン比率が0%未満であっても、資産の額から負債を基礎として計算した額(負債の額から価格変動準備金、危険準備金などの額を差し引いた額)を差し引いた額(実質資産負債差額)が正の値となる場合には、第二区分の措置が取られることがあります。
※ソルベンシー・マージン比率が0%を上回っていても、実質資産負債差額が負の値となる場合には、第三区分の措置が取られることがあります。この場合、実質資産負債差額から満期保有目的債券及び責任準備金対応債券の時価評価額と帳簿価額の差額を除いた額が正の値となり、かつ、流動性資産が確保されている場合には、原則としてこの区分の措置は取られないこととなっています。
※保険会社が第二区分または第三区分に該当したことを知ったあと、速やかに経営改善計画をみずから策定し、監督当局に提出した場合で、当該経営改善計画が所要の期間で達成できると見込まれる場合は、当該経営改善計画達成後に該当する区分(非対象区分は除く)の措置が取られることがあります。
※生命保険協会「生命保険会社のディスクロージャー~虎の巻」を基に編集
【指標2】基礎利益・経常利益
保険会社の1年間の保険本業(保険料や運用収益から保険金・年金・給付金を支払ったり、将来の支払いに備えるための責任準備金を積み立てて運用したりすること)の収益力を示す「基礎利益」は、一般の事業会社の営業利益や銀行の業務純益に近いものとなっています。なお、この基礎利益に「キャピタル損益」と「臨時損益」を加えたものが「経常利益」となります。
これら基礎利益や経常利益が高い保険会社のほうが、経営状況は安心と言えるでしょう。
キャピタル損益 | 金銭の信託運用益や売買目的有価証券運用益、有価証券売却益、金融派生商品収益、為替差損益などを合算したもの |
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臨時損益 | 再保険料収入や危険準備金戻入額、個別貸倒引当金繰入額、 特定海外債権引当勘定繰入額、貸付金償却などを合算したもの |
【指標3】格付け
「スタンダード&プアーズ」や「ムーディーズ」など、専門の格付け機関がさまざまな会社の財務内容を評価し、「格付け」を行っています。保険会社の場合、保険金支払い能力の観点などから評価しています。
スタンダード&プアーズの場合、AA+やBBB-といったアルファベットで表現されており、保険会社を選ぶ際の指標として活用することができます。